痛みの場所に原因はない | 大阪心斎橋のエルンテ整体院
このページでは、今までの常識「痛い所を押すと良くなる」とは異なる内容をご案内していきます。
肩こりを例にとって、痛みとその原因との位置関係が必ずしも一致しないこと、原因は別にあること、そしてその対処方法について詳しく説明をしています。
今までコリの辛い所を押したり揉んだりしても良くならなかった方は、よくお読み下さい。
肩こりで考えてみる
通常肩こりを感じるポイントは下図中に示す赤い円付近が多いと思われます(背中から左側のみを見ています)。
肩こりの原因は大きく4つに分けることができます。
①背中と肩の筋肉のアンバランス
②首の前方への過剰な傾き
③指や手首の酷使
④緊張状態の持続
そのどれもが、痛みや違和感を訴える箇所とは異なる場所です。
①背中と肩の筋肉のアンバランス
背中の筋肉(広背筋)と肩の筋肉(僧帽筋)はお互いの筋力で上下方向にバランスを取っている関係です(下図参照)。
もし僧帽筋の筋力は元のままで広背筋の筋力が弱くなってしまうと、僧帽筋の筋力はより縮もう(緊張しよう)とします。
すると余計に肩が上がってしまい、僧帽筋の緊張状態が続き、肩こりが起きやすくなるのです。
②首の前方への過剰な傾き
パソコンやスマートフォンなどを長時間使用することによって、気づくと画面に顔が近づいていることはありませんか?
頭が前に傾くと、うなじ付近の筋肉が微妙に調整してくれることで最適な頭の位置を保たれます。少しの緊張ですが、長時間続くとその分筋肉への負担は大きくなります。
首と肩には僧帽筋という広い範囲の筋肉があり、これが肩こりを引き起こすのですが、後頭部と首の境目あたりの緊張(左図の赤い円付近)がもっとも強くなっています。
③指や手首の酷使
人体は全身を隈なく筋膜(筋繊維を覆う膜、筋肉の一部)で繋がっています。
そのため、離れた場所に起こる動きや負荷が別の場所に歪みとして現れたり、ある場所で起こった歪みが別の場所で痛みとして発生することも多いです。
中でも、広範囲に渡る筋膜の繋がりはアナトミートレインと呼ばれています。
引用元「アナトミー・トレイン―徒手運動療法のための筋筋膜経線」
トーマス.W.メイヤーズ、松下松雄 現代書院
上図に示すアナトミートレインは手の指先から首や肩の筋肉までの代表的な繋がりです。
このように手指の状態は首や肩まで影響を及ぼします。
そのため肩こり・首こりを訴える方の指の動きを確認すると、固くなって動きにくいことが多いです。
④緊張状態の持続
心の緊張が続くと、呼吸が浅くなりがちです。これは交感神経が高ぶることによって、胸式呼吸になるからです。
胸式呼吸の場合、首肩周りの筋肉を使って肩や上部胸郭(下図の赤線の範囲)を動かして呼吸を行います。すると、首肩周りの筋肉を緊張させたり酷使することになり、肩こりを感じやすい姿勢になるのです。
日頃からの対策
各番号は前述の番号と対応しています。
①背中の筋肉を鍛える
肩の筋肉(僧帽筋)と対になっている背中の筋肉(広背筋)を鍛えることで、僧帽筋の過緊張状態が和らぎやすくなります。
広背筋の鍛え方
下図に示すような体勢(立位)を取ります。図における左手に水の入った500mlのペットボトルを持ちます(図ではまだ持っていません)。
肘を伸ばしたままで図中の矢印が示す方向へ、体側から45度ぐらいまで腕を上げていきます。その後ゆっくりと体側へと腕を戻していきます。
今度は下図に示す伸展方向に腕を45度ぐらいまで上げていきます。
後ろに挙げた腕を下す場合も、ゆっくりと下すようにして下さい。
1セットは「ちょっと脇のあたりに負荷が掛かったな」と感じる程度の回数にします。やり過ぎないことが大切です。
②手枕で首を休める
両手の指を組んで、後頭部に両手のひらをやさしくあてます。首と後頭部の境目あたりに両手の親指が当たるようにしましょう。
ポジションが出来たら、ゆっくりと頭を後ろに倒していき、首の感覚の「心地よい」位置で止めます。
そこで30秒間そのままでじっとしておきます。
30秒経ったら、ゆっくりと頭を前に起こして、両手を離して終了です。
1時間に1回のペースが行ってみるのがおすすめです(座っても、立ってもどちらで行ってもOKです)。
③指先を軽く叩く
肩こりや首こりを感じる側の指先を、反対側の手指の腹を使って、軽く叩きます。
叩き始めてしばらく経つと、肩や首が軽く感じたり、叩かれている指の感覚が変わってきたら終了です。
④お腹に手を当て、お腹を意識して呼吸を行う
胸式呼吸になりやすいということは、普段から緊張しやすい心の状態かもしれません。
そういう場合は呼吸の仕方を意識して変えてあげると、副交感神経が働きやすくなり緊張がゆるみやすくなります。
お腹の上に優しく手を当てて、息を吸う時にはお腹を使って当てた手を押すようにします。
息を吸う時間を3秒、息を吐く時間を7秒ぐらいで、気分がゆるむ感覚が出てくるまで行います。